今回の記事では、英語レベル中級者向け(470-550点)の学習法について学会での論文の発表を続けながら、大学や企業向けに英語研修を提供している鈴木武生氏に話を伺った。

<下記は講師・鈴木の見解です。>

TOEIC・L/Rスコア470点はいわゆるオフィシャルスコアのDレベルに属します。通常日本の普通科課程で高校または大学を卒業した場合このレベルになります。具体的には中学3年(から一部高校1年程度)あたりの基本文法と基本例文を習得したレベルと言えます。

 このレベルに達すると本格的な筋トレのステージがスタートします。
まずは音声的側面から。音読は必須で、音読やシャドーイングを通じて何度も文を暗唱し、「瞬間的に読める」、「瞬間的に聞き取れる」例文を増やしていくことです。TOEIC Part2の問題は、聞き手に何等かのアクションや情報を求める機能を持つ文(ここでは便宜的に『機能文』と呼びます)がFirst Speakerによって話され、それに対する受け答え(場合によってはひねりを加えた返答も含め)がSecond Speakerによって行われます。これは会話におけるコアユニットを形成しています。そのため、こうした文を音読やシャドーイングに利用するということは、会話のコアユニットのパターンに習熟することになるのです。TOEIC公式問題集でも、またはPart2に特化した市販教材でもよいので、こうした勉強によって、瞬時に対応できる文を増やしてください。
 さらに会話におけるさまざまな場面にも慣れる必要があります。最新の脳科学の研究では、会話は単に本や動画からの受け身的学習では身につかず、対人との練習を通じて効果的に身に付くことが分かっています。こうした場面を会話学校やオンライン会話で練習する一方で、実際の会話展開のパターンについて慣れておく必要があります。会話では特にイディオム(熟語)が多用されます。イディオムとは歴史的に成立し、意味を分解して説明ができない、または使い方が固定されている慣用表現のことを指します。たとえば「ほら、噂をすれば影」という日本語は、英語では"Speak of the devil"と言います。このdevelの部分をsatanに変えたり、Did we speak of the devil?というように活用させることはできません。こうした会話表現はNHKラジオ教材(『NHKラジオ英語楽習』)や『話すための英熟語』(IBCパブリッシング)などがおすすめです。
 文法面を強化したい方は、英検準2級の問題集を1冊こなすことをおすすめします。様々な出版社から想定問題集や文法問題集が出ているので、書店で見比べてください。基本的な優劣はありません。語彙は『英検準2級 文で覚える単熟語』(旺文社)などを用いて文脈の中で単語を増やすほうが覚えやすいでしょう。
 総じて言えばこのレベルでは音の筋トレと文法問題を多くこなし、語彙力の基礎を作っておくことが肝要なステージと言えます。

 

鈴木 武生(すずき たけお)

元商社マンから日本語教師、翻訳者、通訳者、辞書編纂者を経て独立。東京大学大学院博士課程修了、Ph.D(言語学)。英日中の意味論、構文論、語用論。タイヤル語の文法記述
image-2株式会社アジアユーロ言語研究所代表取締役。    https://asiaeuro.org/ 


「海外経験のない一般的な日本人が、外国語能力を身に付け、外国人とコミュニケーションが図れるようになるためには、一体何をどのように実践したら良いのか、またどうすればそうした学習者を支援できるのだろうか。」という思いで設立。代表として企業語学研修を中心とし、日系・外資を問わず、またあらゆる業種の企業に対し、学習者の語学力向上をサポート。

 

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