非母語話者の日本語力を測る試験には、複数の試験や検定があります。皆さんの会社で求める日本語力やスキルを測るには、どの日本語試験が最適でしょうか?

ここでは、代表的な3つの試験日本語能力試験(JLPT)BJTビジネス日本語能力試験(BJT)それに、国際交流基金 日本語基礎テスト(JF-Basic)について紹介します。

 

①日本語能力試験(Japanse Language Proficiency Test、JLPT)

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日本語力を測定する試験としては最大規模

非母語話者の日本語能力を測定する試験としては最大規模の試験で、国際交流基金と日本国際教育支援協会の共催によって実施されています。直近データとなる2018年度は、国内47都道府県と、海外85の国と地域、249都市で実施され、国内・海外合わせて100万人余りが受験しました。

レベルは5段階、「文字・語彙・文法」の言語知識、読解力、聴解力が測定される

試験は年2回、7月と12月に行われます。レベルは最も易しいN5から難度が高いN1まで5段階にわかれています。受験者は自分の日本語レベルに合わせて出願し、合否によって判定がなされます。ざっくり言うと、難度が高いN1N2はホワイトカラーの、より基本的なレベルのN4N5は特定技能(後述)の在留資格で就労するブルーカラーの日本語力判定の目安にもなると思われます。

JLPTで測られるのは「文字・語彙・文法」の言語知識と、読解力、聴解力の3つです。選択肢によるマークシート解答のため、「話す」「書く」という能力を直接測れるわけではありません。

試験合格のメリットは?

「高度人材」と呼ばれる高い資質、能力を持つ外国人材に、出入国管理上の優遇措置を与える制度があります。いくつか設定された項目のポイントを加算し70ポイントに達すると得られる資格なのですが、その項目の1つに、この日本語能力試験の結果が挙げらています。具体的には、最も難しいN1合格者には15ポイント、N2合格者には10ポイントが付与されます。社会的にもN1合格はステイタスとして認められ、多くの企業の採用試験において、N1合格は有利な条件だと言えます。

JLPTは対策用の問題集も多く出版されています。企業の日本語教育研修では各人の実力にあったテキストを使用するのが最も確実でしょう。

 

②BJTビジネス日本語能力試験(BJT)

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ビジネスシーンに特化した日本語能力を測る

日本語非母語話者を対象に、職場やビジネス場面で必要とされる知識と日本語力の測定に特化した試験です。1986年に始まり、(公財)日本漢字能力検定協会が実施しています。志願者数は2016年度は6611人で、2003年から2016年までの累計で約81000人となっています。

試験はCBT方式、結果は受験当日にわかる

インターネットを通じて申し込み、その時に指定した日時に試験センターに行って受験します。試験はコンピューターを使った「CBT方式」。結果通知は受験当日になされ、合否ではなく、得点によって6段階のスコアで示されます。最も低いのがJ5(ジェーファイブ)で、最も高いのがJ1+(ジェーワンプラス)です。

なお、試験センターは、20199月現在、国内24都道府県、海外は19カ国に設置されており、申し込み時に自分で選択することができます。

試験科目は「聴解」「聴読解」「読解」

試験科目は、「聴解」「聴読解」「読解」の3つ。公開されている問題例を見ると、「聴解」「聴読解」は、写真やイラスト、グラフなどを見て、音声を聞きながら、場面にふさわしい表現や言葉を選ぶ問題が多く出題されています。

また、「読解」は、短文やある程度の長さの文章を読み、ビジネス場面特有の表現や言葉を選ぶ問題が出題されているようです。いずれも「ビジネス場面」を意識した問題が出されています。

在留資格の証明基準にも認められているBJT

BJTは、在留資格を得るための日本語力を証明する試験の一つに認められています。例えば、高度人材ポイント制では、480点以上で15ポイント(JLPTN1と同等)、400点以上で10ポイント(JLPTN2と同等)が付与されます。

また、よりビジネスに特化した試験内容であるため、この試験のスコアは、日本語力に加え、日本におけるビジネスマナーと知識を備えていることの証明にもなります。日本で活躍の幅を広げたい人に対して目標として提示することで、モチベーション向上にもつなげられるでしょう。

③国際交流基金 日本語基礎テスト(JF-Basic)

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日本で就労を望む外国人の基礎的な日本語力を測定する

2019年4月、「特定技能」という在留資格が創設されました。介護、飲食、農業など、人手不足が深刻な14分野での単純労働を可能にし、外国人を担い手として迎えようというものです。この在留資格を得るためには、就業分野の知識・技能を測る試験と、日常会話程度の日本語力を測る試験に合格する必要があります。後者にあたるのが「国際交流基金 日本語基礎テスト」です。

公式サイトを見ると、目的として、「主として就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力があるかどうかを判定すること」とあります。難度は日本語能力試験でいうとN4と同程度と考えておけばよいでしょう。

試験は基本的に海外で実施

試験は基本的に海外で実施されています。これまでの実施実績を見ると、20194月以降、フィリピン、インドネシア、モンゴル、カンボジア、ネパールなどで実施され、20201月までの累計で4000名ほどが受験しました。合否の判断は基準点に到達しているかどうかです。

試験は、指定された試験会場に行き、コンピューターを使った「CBT方式」で、画面に表示される指示とヘッドフォンから流れる音声に従って、正しい選択肢を選ぶ方式です。

どんな問題が出題されるのか

試験問題は、「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4セクションにわかれています。サンプル問題を見ると、漢字や言葉の読み方や意味、用法、会話の受け答えが場面や文脈に合っているかどうか、指示やアナウンスを聞いて内容が理解できるか、手紙や掲示などを読んで内容が理解できるかといった問題が出題されています。なお、「会話」となっていますが、選択式問題のため、直接、会話力が測られるわけではありません。

まずはサンプル問題の分析を

この試験は日本語能力試験と出題形式が似ている部分があります。難度はN4程度ですので、日本語能力試験の問題集をやってもよいでしょう。研修では、サンプル問題を分析して問われやすい形を把握した上で、練習問題を解くことが有効だと思われます。

企業の日本語研修でキャリアアップを支援

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日本語力を測る代表的な試験3つについて見てきました。測りたい日本語力を評価できそうな試験は見つかったでしょうか?どの試験も特徴があるので、まずは職種別に必要とされる日本語力はどのようなものかを見極めた上で、試験とレベルを選択することが大切です。

試験は、あくまでも、その時点での日本語力を測るもので、その後、どのぐらい日本語力が伸びるのか、「伸び代」までは測れません。企業が継続的な受験を促し、評価制度にも反映させることで、さらに上を目指そうというモチベーションにもなるでしょう。うまく活用して外国人材のキャリアアップを支援したいものですね。

 

 

執筆者:青山美佳
成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科卒。
主に、外国人の日本語学習、言葉とコミュニケーションにかかわる分野を中心に、日本語能力試験の問題作成・テキストの執筆、取材・記事執筆、編集・校正、文章添削などを行う。

 

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