自ら話を組み立てないといけない英語のスピーキングテストでは、「文法的な正しさ」が評価対象となっている。中でも、英語の時制を正しく使いこなせるかを評価しているテストは非常に多い。「最近○○をした話をしてください」と自らの経験を話させるタスクや、「グラフを見て何がこの数年で起きたのか説明してください」「課題となっているのは何かを説明し、解決策を述べてください」のような、過去の出来事について説明をさせたうえで、今度どうしたらいいのか意見を問うタスクなどがある。これらの質問に対する回答の出来栄えに影響するのが「時制が適切か」である。話し手がどの時点の話をしているのかを聞き手がイメージできるかどうかで、正確な情報を得られるかどうか決まるからだ。

英語学習者のレベルを測るうえで、時間軸上で話の行き来ができるかを見れば、初中級者か中上級者かが瞬時にわかると言っても過言ではない。いつの出来事について話しているのかが明確に伝わらないとミスコミュニケーションが発生してしまうので、当然である。日本語でも幼い子が「明日ディズニーランドに行ったの」と言うと、「いつの出来事?」と聞き手は混乱するが、英語では12も時制があるので、間違えるとかなりの混乱が生じてしまう。

英語の時制に関する知識がぼんやりしている人は、下記の12の時制の分類を理解してほしい。また、スピーキング力を強化したい人のために12の時制をマスターする練習法を紹介する。

 

英語で使い分けるべき時制は12!

言語理論上では「テンス」と「アスペクト」、2つの時制に関する概念があり、それを表にすると以下のようになる。テンスとは時間枠のこと。過去、現在、未来の3つの枠があると考える。対して、アスペクトは時間の流れのことである。特定の枠(例えば過去)の中で、時間が流れているのか、または特定の時点の話をしているのかなど、より「話のニュアンス」を明確にするために重要な考え方である。「進行形」や「完了形」という単語を中学校の英語の先生が使っていたのを覚えているだろうか。端的に言うとそのことだ。まず、studyという単語を使って12の表現を確認しよう。

表5それでは、12の時制をgive a presentation「プレゼンを行う」という表現を例にイメージ化してみよう。進行形には必ず時間の流れが伴い、完了形には必ず特定の時点があることがわかるだろうか。この2つの感覚を理解することが時制をマスターするためのポイントだ。

 

時制イメージ

練習法

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  1. 単語/表現差し替え練習

まずはドリルプラクティスをして文型に慣れよう。上記のイラストではgive a presentationが動詞の原型の表現となっているが、自分が使いこなせるようになりたい特定の動詞を決めて、上記のイラストに基づいて文を作る練習をしてほしい。最初のうちはじっくり考えながら書き出して、そのあとに音読をする形でいい。徐々にペースがあがるように、何度も何度も動詞を変えて練習しよう。1つの単語を思い浮かべたら、12の文が瞬時に口から出てくるところまで徹底的に練習する。Iを主語にした文がスムーズに口から出てくるようになってきたら、次は主語をhe/sheまたはpeople/theyにして、適切なbe動詞や三単現のsに注意をしながら練習する。

 

  1. パラグラフスピーチ

12の文型に慣れたら、自分のことについて話す練習をしよう。12の文型のすべてを作る必要はないが、さまざまな時制の情報を組み込むことを意識してほしい。特定の時点を決めて完了形や進行形の文を作る。例えば、今がちょうど月の途中だとしよう。月初(過去)と月末(未来)という時点を意識して仕事について話すことができる。

<例>
I am so busy this month (現在形). By the third day of the month, I had already attended twenty meetings (過去完了形)! I gave four presentations(過去形) so far, and I am going to give two more(未来時制) later this week. I usually sleep for about 6 hours(現在形), but this month, I have only been sleeping for about 4 hours each night(現在完了進行形). I have just submitted my proposal for our new project(現在完了形), so I will have some time to relax later this month(未来時制). By the end of the month, I will have finished all my urgent tasks(未来完了形), so I will probably take three days off next month(未来時制).

(訳文):今月はものすごく忙しい。今月の3日目にはすでに20もの会議に出席し終えていた。今のところ4つのプレゼンを行い、今週まだあと2つ行う。普段は6時間くらい睡眠をとっているが、今月は毎晩4時間くらいしか寝ていない。新しいプロジェクトの提案書を提出したばかりなので、今月のあとのほうに少しリラックスする時間があるだろう。月末にはすべての急ぎの作業を終えている予定なので、来月は3日休暇を取ると思う。

 60秒以上は途切れることなく話し続けられるように、何度も同じスピーチをやり直すことが大切だ。正確さと流暢さの両方を意識して練習するのがスピーキング力強化のコツである。

 

  1. (環境が整っていれば) ペアワーク

 同僚、家族、友達など、一緒に練習できる人がいる場合は、テーマを決めてアクティビティをすることも可能だ。例えば、「スポーツ」をテーマにして、お互いに12の時制をできるだけ多く使い、話を組み立てる。聞き手の人は、聞き取れた表現を書き出す役割を担う。イメージしたことをイラスト化すると、述べられた出来事に継続性があるのかを意識できるので、時間があれば図式化するとよい。話し手が伝えようとしていたことと、聞き手が作り上げたメモの整合性が取れているかを確認する。

<話し手の発話例>
I played soccer in junior high school(過去形), but when I was going home one day(過去進行形), I hurt myself. It had been raining that morning(過去完了進行形) and the road was slippery. I had not been paying attention(過去完了進行形) to the road condition, so I fell on my bicycle and broke my leg(過去形). As a part of my rehabilitation, I started swimming(過去形), and I was swimming every day(過去進行形). I became a good swimmer, so I joined the swimming club in high school(過去形). I still love swimming, so I go swimming every weekend at the gym(現在形). I am going to participate in a swimming competition next month(未来時制).

(訳文):中学校でサッカーをやっていましたが、ある日家に帰っているときにケガをしました。朝、雨が降ったので道が滑りやすかったんです。道の状態を気にしていなかったので自転車で転んで足を骨折しました。リハビリの一環として泳ぎ始め、毎日泳いでいました。泳ぎがうまい人になったので、高校では水泳部に入りました。今でも水泳が大好きなので、毎週末ジムへ泳ぎに行きます。来月、水泳大会に出場予定です。


<聞き手のイラスト例>

聞き手のイラスト


おすすめ書籍

時制は「話のニュアンス」をも変えてしまうので、英語上級者になるためにはニュアンスまで理解できるようになることが重要だ。ニュアンスに関する考え方は本が1冊や2冊書けるほど奥が深い。時制に的を絞った本を手にとり、感覚的にわかるようになるまで何度も読み返してほしい。

 

<おすすめの書籍はこれ!>

 本  

【書籍名】ネイティブが教える 英語の時制の使い分け
【著者】デイビッド・セイン、古正佳緒里
出版社研究社

おすすめポイントは後半にたくさんのニュアンスクイズがあること。「この表現はあり?なし?」「『あり』の場合はどんなニュアンスになる?」といったクイズがたくさんあるので、まずは頭で理解しよう。そして、紹介した練習方法で自分でもうまく使い分けができるように自主練習してほしい。

 

練習あるのみ!たくさん練習して時制をマスターしよう!

 

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

 

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