英語試験の点数はぐんぐんあがり、順調に英語研修を修了したAさん。しかし、実際に英語を活用したビジネスの現場では、なぜか行き詰ってしまっています。これは英語を駆使するためのマインドセットの重要性に気づいていないからかもしれません。

 

実践の場での行き詰まり

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企業の英語研修にサポートされつつ、しっかり努力を重ね、着々とビジネス英語のレベルを上げてきたAさん。いよいよ勉強してきた英語を実践の場で生かす時が来ました。けれども、なぜかうまく話が伝わりません。相手が話に乗ってきてくれないのです。まだまだ英語の勉強が足りなかったのでしょうか。あるいはコミュニケーションの仕方が下手なのでしょうか。

もちろんその可能性は残っていますが、Aさんにはそれ以外に原因があるかもしれません。英語の技術的な問題がないのにビジネスの場で英語によるコミュニケーションが思うように進まないとき、それは「考え方」の問題、あるいは先入観や価値観の問題が原因となっていることがあります。Aさんが持っている考え方や先入観は、Aさんが今まで生きてきた中で培ってきたもので、これを総称してマインドセットと言います。

 

マインドセットとは

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マインドセット(mindset)とは、英語で「その人本来の思考の傾向や考え方」を意味します。その時々に応じた思いつきではなく、心に染みついた思考様式です。たとえば思い込みや信念、先入観などもこれに含まれ、過去に受けてきた教育や経験で無意識のうちに形作られるのがマインドセットです。人はこのマインドセットに基づいて様々な行動や判断をするため、ときにはマインドセットが足を引っ張ることもあります。

英語に限らず、マインドセットの重要性は最近特に指摘されるようになりました。ベースとなるマインドセットを見直して、適切な方向に修正することで、その後の行動や判断に役立てようというわけです。また、英語を学習している途中段階でも、マインドセットが重要な働きをします。冒頭に「しっかり努力を重ね」という言葉を書きましたが、努力の継続はなかなか辛いものです。しかし、英語学習を登山に例えれば、一歩ごとの辛さをかみしめて登っていくよりも、周囲の景色を眺めたり頂上に到達したときのことを想像したりする方が、はるかに楽しく登れます。目の前の物事の何に視点を合わせるかは、まさにその人が持つマインドセットによって異なります。適切なマインドセットを持つことで、感じる辛さのレベルも変わるのです。

 

実践の場でのマインドセット

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英語を学習している段階と実践の段階のもっとも大きな違いは、想定外の出来事と遭遇するかどうか、というところにあります。英語学習では、ある意味で想定問答を多く学びます。しかし現実の社会では、相手が想定外の反応をしてきたり、予想外の展開になったりなど、自分の思うとおりに事が運ぶわけではありません。英語学習を一通り終えた人は、少なくとも英語コミュニケーションに必要な基礎力はついているはずなので、本来ならいろいろな場面に応じた対応ができるはずです。それでも想定外の場面で臨機応変に対処できず、あたふたしてしまうのは、想定が間違っていた、すなわち思い込みがあったということに他なりません。

たとえば商談の場で自分の発音が一回で通じなかったときや、相手の言っていることが一回で聞き取れずに繰り返し聞き直すときなど、それを恥ずかしいと思って頭に血が上っていては、冷静な対応など取れません。英語による会話に詰まったとき、それを恥と感じること自体、マインドセットにすり込まれている感覚です。一方で、話がスムーズにできないことを気にかけることもなく、むしろ自分が成長する上で学ぶべきことが新たに発見できたとポジティブに受け取る人がいたとしたら、それはそれで、その人が持つマインドセットのおかげです。

物事にはいろいろな側面があり、一方向からだけではなく別の方向からも見られるような思考ができると、柔軟な立ち振る舞いができるようになります。そのためには、硬直したマインドセットを見直すことが重要です。

 

マインドセットを変える

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マインドセットは過去の経験で積み上げてきたものですが、逆に言えばこれからの経験で変わる可能性があります。しかも、「経験」は自分で選ぶことができるのがポイント。マインドセットを意識的に変えることを目的に、どのような経験を積めばよいか考えるのも大切でしょう。企業の英語研修の場でも、マインドセットすなわち考え方や心の持ち方について学ぶ機会があれば言うことありません。研修を提供する側にとっても、この点は研修プログラムを検討する際に考慮に入れるとよい要素の一つだと思います。

 

 

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執筆者:森 弘之(もり ひろゆき)
AllAbout日常英会話ガイド 
担当テーマ:日常英会話東京都立大学  教授(理学博士)  

 英会話への第一歩は英会話学校通い。学部生時代には大学を休学し、米国へ語学留学。その後も米国の大学に研究員として2年間在籍。仕事の性格上、海外の研究者らとの交流も多く、コミュニケーションの道具としての英語の重要性を痛感する毎日。日本人の英会話力の欠如は、国際的な学会、研究会でも際立っていることに憂慮しており、その理由にも高い関心を持っている。

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