聞き慣れないテスト名かもしれないLinguaskill Businessだが、前身はCambridge English(ケンブリッジ大学英語検定機構)の旧BULATSテストだ。インターネット上で受験するテストとして、利便性を追求して20198月に生まれ変わったのがLinguaskill Businessである。以前、BULATSの紙媒体の試験の実施を企業内で担当したことがあり、その大変さを知っている筆者だが、高品質なビジネス英語テストの内容のまま、格段と受験しやすくなったことに驚いた。

 

今回は、Linguaskill Businessの概要をまとめ、グローバル社会において、どこまで英語力が通用するかを知るために、Speaking TestWriting Testの受験を勧めたい。

 

1. 受験方法・特徴

home-office-336373_1280Linguaskill BusinessTOEIC®SWテストと異なり、受験者が用意したパソコンで受験可能。いつでもどこでもインターネット環境とパソコンがあれば受験できる。この手法は利便性が高い一方、カンニングや替え玉受験ができるなど、試験の公平性が課題だった。しかし、2020年夏より、リモート監視システムの活用が可能となった。リモート監視システムを使いたい場合は、受験に使うパソコンに指定されたソフトウェアをダウンロードし、そのソフトウェアを起動することで、海外にいる監督官とつながる。受験時のパソコンの操作を監視されると同時に、パソコンのカメラで受験時の挙動も監視される。監視機能付きの利便性の高い試験はまだ少ないので、Linguaskill Businessの大きなメリットだろう。

Linguaskill Business3つのパートに分かれており、まとめて受験することもバラバラに受験することもできる。所要時間の目安は以下のとおりだが、一般的な英語テストで時間が余る英語上級者であれば、もっと短く試験を終えることができるのも上級者にとってはありがたいところだ。

 

 

  所要時間目安 費用
Reading & Listeningテスト 6085 2,900
Writingテスト 45 3,900
Speakingテスト 1520 6,900円

 

※セット割引あり

Reading & Listening + Speaking 8,900円(900円割引)
Reading & Listening + Writing
5,900円(900円割引)
Reading & Listening + Speaking + Writing
11,900円(1,800円割引)

出典:英検協会受験案内ページ 

 

※2020710日現在

※受験方法の詳細については日本の運営元である日本英語検定協会にお問い合わせください。
※代理店を通した受験も可能。株式会社WizWeも代理店になっているので、企業での導入についてはぜひ弊社にお問い合わせください。

 

2. Speakingテストの問題形式

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ビジネス英語テストとして日本で圧倒的な受験者数を誇るTOEIC®テストとLinguaskill Businessの試験内容は似ている。ビジネス場面(職務内容を説明する場面、出張の場面など)において、ビジネスで行う必要のあるタスク(問い合わせに対応する、問題を指摘し改善を提案するなど)を英語で遂行する力が測れる。問題の種類は初中級者でも対応できるものから、中上級者でないと対応が難しい問題まで、幅広い。


Linguaskill BusinessSpeakingテストは多くのテストに共通しているように、後半になると難易度が高くなる構成だ。前半のインタビューと音読は英語力が高くない人でもある程度は対応できるが、プレゼンテーションやグラフを元にした発表、ロールプレイは難易度が高い。

 

<Part1:インタビュー>

受験者に関することが8問あり、最初の4問は名前など、誰でも答えられそうな内容だ。5問目から普段の業務内容など、受験者の日常に関する質問が続く。

 

<Part2:音読>

関連性のない8つの文を読み上げるシンプルなタスク。発音の良し悪しはあれど、概ね全員なんとか取り組めるだろう。

 

<Part3:プレゼンテーション>

意見を問われる質問があり、45秒の準備時間を経て1分間で意見を述べる。このあたりから初級者はかなり苦しくなる。

 

<Part4:グラフを用いたプレゼンテーション>

グラフを説明するタスク。グラフにはタイトルがあるので、何についての情報かは一目瞭然である。そのグラフが表しているデータを詳細に伝える。

 

<Part5:ロールプレイ>

ロールプレイという名前がついているものの、実際は質問が投げかけられて自分の意見を短く述べていくような質疑応答問題。40秒間、状況設定について読む時間が与えられ、その後、5問の質問が投げかけられる。回答時間は各20秒なので短く意見をまとめる必要がある。

 

1分程度で意見を述べる場面も20秒程度で短く意見を述べる場面もビジネスパーソンには多いだろう。このような、現実味のあるタスクを行うことがこのSpeakingテストのよさだ。

 

3.ライティングテストの問題形式

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ライティングテストはわずか2問のみ。受け取ったメールに返信する問題や、求められていることを詳細に書くような社内用文書を作成する能力を問われる。1問目に15分間、2問目に30分間かけることが推奨されているが、合計45分間の時間配分は自分で決めてよい。内容は以下のとおり。

 

<Part1>Eメールや手紙、メッセージを書く

 

<Part2>報告書/企画書の作成

 

1問目は50単語程度の短い文書、2問目は180単語程度の文書を書くタスクなので、普段から英語を書き慣れている人にはさほど負担にならないだろう。

 

ビジネス英語テストなので、ちょっとしたビジネスアイディアが求められる点もおもしろい。特に2問目は「社内で●●の新制度を導入するので、以下の3点について伝えなさい」といったタスクが与えられるため、すぐにアイディアをまとめて書き出す必要がある。

 

このようにLinguaskill Business は「実技」を伴うテストなので、英語を使ってどれだけビジネスを円滑にできるかの参考になる。

 

 

4.採点方法

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4技能、それぞれが機械採点される。Cambridge Englishが人間による評価と機械採点の比較を行う大掛かりな調査を行ってから運用を開始しているため、採点の信頼性は高いとされている。4技能それぞれにCambridge English Scaleに基づいた82点から180点までのスコアが付けられる。その点数と共にCEFRレベルが示される。機械採点なので、すぐに結果がわかるのが魅力だ。英検協会からの案内によると、20207月現在は「受験日の3営業日後より閲覧が可能」となっているものの、筆者が受験した際は試験日同日に結果が表示されていた。今後結果閲覧までの時間が短縮されていくのかもしれない。

Cambridge English ScaleCEFRレベルの相関は以下のとおり。

 

Cambridge English Scaleスコア CEFRレベル(※)
180+ C1 or above
160 – 179 B2
140 – 159 B1
120 – 139 A2
100 – 119 A1
82 – 99 Below A1

 

出典:Cambridge English 

CEFRは、外国語でどのようなこと(質問をする、説明をする、交渉をするなど)ができるかを判定する国際的なガイドライン。

 

なお、TOEIC® Speaking Testと同様に、Linguaskill Business C2レベルのスピーキング力は測っていない。これは、C2レベルは教養のあるネイティブ同等の力を示すため、議論する力などを測る必要があるが、対人でテストを行わないと証明しにくいためだ。スピーキング上級者がC2レベルに達しているかを測りたい場合は、英検協会が運用しているGCASテストを受験するとよい。このテストでは試験官と面接をするのだが、自分が述べた意見を否定されても、論理的に別の観点から説明できるかなど、より難易度の高いことができるか確認できる。

 

 

5.受験のメリット・ディメリット

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■メリット

・社員各自のPCで受験可能なので、インターネット環境があればいつでもどこでも受験可能。

・短時間でビジネス英語力が判定できる。ちなみに、Reading/Listeningテストは受験者の正誤に応じて次の問題が決まるcomputer-adaptive test(コンピュータ適応型テスト)だ。

・受験費用がリーズナブル。比較的安価に4技能を計ることも、英語の運用能力(スピーキング力とライティング力)だけを測ることもできる。

・機械採点なので、すぐにテストスコアが出る。

・ビジネスに直結したタスクばかりなので、スコアアップに向けた学習を続けると、ビジネス場面でも活躍できるようになる。

■ディメリット

・受験時に使用するパソコンに試験監督官がアクセスできる状況になるため、監視システムを活用するのにセキュリティ面で懸念事項を感じる企業・受験者がいると考えられる。不安な場合は、監視システムを使わないで試験を運用することや、社内に受験用の貸し出しノート型PCを複数台用意するような運用が考えられるだろう。

・監視システムを活用すると、その準備だけに15-30分かかり、所要時間が大幅に増える。試験開始前に身分証明書の提示、パソコンのカメラを使って、部屋を一周写す確認、テーブル上のものを全て写す確認、パソコン上で動いているソフトなどを全て閉じる作業などが必要なので、なんらかのトラブルがあると、もっと多くの時間を要する。なお、監督官は日本語が理解できないので、英語でやり取りする必要がある。このことが英語に苦手意識がある受験者に負担になると考えられる。

・受験時の機械トラブルなどはすべて受験者が一人で解決せざるを得ないうえ、機械による評価なので、スコア誤差が出る可能性がある。したがって、人事評価制度と直結した活用は時期尚早かもしれない。

 

まとめ

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Linguaskill Businessは初中級者から上級者の英語力を測るのに有益な試験である。いつでもどこでもパソコンとインターネット環境さえあれば受験できる利便性の高いテストだ。テスト内の設問やタスクはすべてビジネスパーソン向けの内容で、特にSpeakingテストにおいては、少しずつタスクが難しくなっていく構成になっている。スコアがすぐに出るので、定期的にスコアを測り、自分の英語がどれだけ通用するかを積極的に計るのに活用してもらいたい。

 

 

TOEIC®SW試験についてのブログはこちら

・ビジネスで戦力となる英語力を見極める TOEIC®SW試験とは

ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW目標設定

ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW学習法

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

 

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